約 730,160 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2783.html
そりゃ、私達にだって不満はあります。あの子達と組んだおかげで神姫マスターアイドルとして有名にはなれました。最近じゃ神姫センター関係のイベントだけじゃなくて地方のイベントとかにも呼んでもらえます。実は小さなハコですけどライブの開催も決まったんですよ。でもね…ステージでお客さんの歓声をいくら受けても、それはあの子達へのものばかりなんです。一生懸命歌ってるのは私たちなのに聞こえてくるのがあの子達の名前だけっていうのは結構堪えるんですよ。お客さんにしたらいつまでたっても結局私たちはアイドル神姫のマスターなだけ、おまけでしかないんです。 -武装神姫マガジン6月号「特集:突☆撃!オトメを支える神姫達」より抜粋 連続神姫ラジオ 浸食機械 16:マジックドール 背後から襲い来るビームソードの斬撃を頭のアンクルブレードでいなすとストラーフは後ろに飛び下がる。いつの間にか接近した清四郎が追撃を仕掛けようとするが茂みの影から飛来したドングリに行く手を遮られる。 「もういいだろ。お前のマスターは沈黙した。無理に命令を遂行することはない」 そう言って茂みから姿を現したのは白髪交じりの老人だった。手には紐と布で作られたよく分からないものを持っている。老人に声をかけられた清四郎は抵抗をやめる。その顔には安堵の表情が浮かんでいた。 「さて、お前達、大丈夫か」 先ほどのストラーフが僕たちに手をさしのべてくる。その手を取って立ち上がった僕たちは彼女達に礼を述べる。 「事情は色々あるのだろうがまあ深くは聞かないさ。この島では色々あるからな」 そう言ってストラーフは豪快に笑った。 「そうだな、人の事情まで詮索している暇はない。待ち合わせに遅れないよう行くぞ、零」 「まあ、そう言うわけで送ってやりたいんだがこっちにも事情があるんだ。行こう火狩。」 零と呼ばれたストラーフはすまなそうに笑うと老人の肩に飛び乗る。 「コウガのことは俺たち大人に任せておけ。きっと君と神姫を家に帰してやる。だから無茶はするなよ」 「お前達みたいな優しい奴にはこんな役目はして欲しくないんだ」 立ち去る前に老人と神姫は僕たちにそう語りかけ、茂みの中に消えていった。 <無茶はするな、か。ひょっとしたらその方がいいのかもしれないね、プルミエ> 「マスター・・・」 プルミエが不安そうに声をかける。僕の考えを悟って心配してくれているのだ。 <でも僕はやっぱりコウガにあって彼女を止めたい> コウガの生い立ちを知ってから僕はずっとそう考えていた。子供のわがままかもしれない。英雄願望なのかもしれない。でもこのままで終わっていいはずはない。あの人達はどんな事情があってもきっとコウガを壊す。そんな終わり方を僕は避けたかった。 次回:届かぬ思いに続く・戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2661.html
8ページ目『剣の墓場』 ◆―◇―◆―◇―◆―◇―◆―◇―◆ 前回までのあらすじ 世界中の神姫が、ただのフィギュアになっちゃったみたいです。 なんで? とは聞かないでください。 私だって、キャッツアイを名乗る3バカ神姫に出会うまで、イルミのことをすっかり忘れてしまっていたんです。 かと思いきや、ただのフィギュアから目を覚ましたイルミはすぐにいなくなって、代わりに現れたのは射美と名乗る、私と瓜二つの小さな女の子。 しかも射美ちゃんは、自分は私と弧域くんの子供だと言い張り、押し切られるように私達は一緒に住むことになってしまいました。 何が何やらサッパリなまま、私のことをママと呼ぶ射美ちゃんと一緒に、一晩を過ごすのでした。 ◆―◇―◆―◇―◆―◇―◆―◇―◆ 「天才子役っているじゃない、小さいのにテレビに出てる子。すっごくチヤホヤされて持ち上げられるけど、あたしは子供をドラマに起用するのは無理があると思うの。嫉妬してるんじゃないよ、別に役者さんになりたいとか、思ったことないわけじゃないけど、どうでもいいし。そういう子の演技見てると、すぐ泣けたりするのはすごいけど、台詞は全部棒読みじゃない。しかもヘタに演技しようとして声が不協和音っぽくなってる子までいるし」 「その点、小説なら役者がいらないから大丈夫かなって思ったんだけどね、やっぱり難しいみたい。作家さんが文字を並べるだけだから、特攻服着たヤンキーがしんみりして哲学的なこと言ってたりするんだもん。って、あたしも人のこと言えないかな? 小説家目指してるママなら分かると思うけど、難しいよね」 「『一ノ傘』って苗字も好きなんだけどね、あたし、『雲呑(くものみ)』って苗字に憧れててたんだ。なんか響きがカワイイでしょ、ママもそう思わない? 将来は雲呑って苗字の男の人と結婚しようって考えてたくらいなの」 「でもね、にゃふー知恵袋で聞くと、雲呑って『ワンタン』って読むんだって分かって、すごくショックだったの。あたしのあだ名は絶対『ワンタン麺』に決まっちゃうじゃない。でもワンタン麺って食べたことないんだけど、おいしいのかな? ママは食べたことある?」 「武装神姫で日本一強い人って知ってる? 竹姫葉月っていうお姉さんなんだよ。神姫はアルテミスっていうアーンヴァルなんだけどね、悪い改造した神姫でも簡単にやっつけちゃうんだって。『もう死んでもいいから勝ちたい』って覚悟して違法な改造した神姫でも、全然勝負にならなくてあっさり負けちゃうんだってよ。神姫の世界も世知辛いよね」 「そんなに強い神姫でも、インターネットの対戦でなかなか勝てないところがあるらしいよ。そこに集まる神姫は悪い改造はしてないんだけどね、へんてこな神姫ばっかりなんだって。レーザーで魔法陣を描くシュメッターリングとか、ワープできるバイクに乗ったエストリルとか、12人の神姫を糸で操るクーフランとか、自分は硬い箱にこもったまま毒ガス攻撃するズルいマリーセレスなんてのもいるんだって。聞いてるだけでもすごそうだけど、たぶんその神姫達のバトルって、極端すぎて見ててもあんまり面白くないよね。でも今は世界中の神姫がただのフィギュアになってるから、関係無いか」 慌ただしかった昼間が嘘のように、夜の色に落ち着いた姫乃の部屋。母と娘二人の、布団の中から聞こえてくるおしゃべりは、明け方になるまで続いた。といっても話のほとんどは射美が一方的にしゃべるばかりで、姫乃は専ら相槌をうつだけだったが、射美にとってはかけがえのない時間だった。 ママと同じ布団に入っていれば、悪夢に怯える心配なんてしなくていい。どんな話でも聞いてくれるママがいてくれれば、明日もきっといい一日になる。 射美が信頼を寄せる姫乃と弧域は、最初こそ少し難色を示しても警察に突き出すような心ないことをせず、たとえ様子見であっても、射美のための居場所を作った。愛情を求める子が心安らかにいられる、大切な場所を。 弧域と姫乃の部屋は別れているから「今日はね、う~ん……ママと寝る!」と射美は選んだ。隠し切れないほどのショックを受けた弧域は、射美と明日一緒にお風呂に入ると約束をした。当然姫乃が却下したが。 夕食を弧域の部屋でとり、姫乃の部屋に戻った母子二人、女の子同士の夜は、いつまでもいつまでも、幸福に満ちていた。 結果、姫乃は体調を崩した。 弧域との喧嘩。 心を取り戻した神姫。 そして射美の登場。 それらをたったの数時間の中で経験し、さらに機嫌を持ち直した射美は姫乃と二人でベッドに潜った後も睡魔を尽く退け、姫乃は夜通し娘(仮)の話に付き合う運びとなったのである。 途中で(あ、これ明日はダメかも)と軽い絶望を感じつつも、ついに射美の笑顔を崩すことなく明け方まで耐え切った姫乃は、早くも一人の母としての偉業を成し遂げたと言っても過言ではない。翌朝、体温が38.2度を記録したことからも、いかに姫乃が頑張ったかが伺える。 「ダメだよ、弧域くんはちゃんと学校行かないと。それより、今日の代返お願、ケホッ、ご、ごめん…………う、うん、なんとか大丈夫、かな」 「射美ちゃん? まだ私の横で寝てるよ。寝顔は天使みたい。私達の子供だからね……にはは、冗談よ」 「世話を任せたいのは山々なんだけど、たぶん昼過ぎまで起きないわよ。昨日からず~っとおしゃべりしてたもん。だから3限目の最後の講義が終わったらすぐに帰ってきてくれると嬉しい、かな。射美ちゃんが起きると思うから、二人で下着とか買ってきてくれると……無理? でも私のお下がりってわけにもいかないし……そうそう、頑張ってカワイイのを見繕ってあげてね、パパ」 「じゃあ帰りに風邪薬、お願いね。……うん、弧域くんも風邪をもらってこないように、ね」 通話を切ると、携帯が姫乃の手から枕元に滑り落ちた。拾い直す気も力もない姫乃は射美と自分の布団をかけ直し、目を閉じた。 看病のために学校を休むと弧域が頑なに主張するのは、姫乃が体調を崩す度のことだった。そして姫乃の部屋に入ろうとする弧域と、意地でも禁断の部屋に入らせまいとする姫乃の電話での応酬も、これまたいつも通りである。 普段ならば妥協案として、姫乃が弧域の部屋のベッドを使うことにしている。やつれた顔を見られることにかなりの抵抗があっても、体調を崩した時はどうしても気が弱くなり、独りきりでいることが心細くなってしまうからだ。 隣に射美がいるから寂しくはない、と言えるには言えたが、姫乃にとって射美はあくまで面倒を見るべき子供であり、ましてや自分の看病をさせるなどもっての外である。 すやすやと安らかに眠る少女は、普通ならばこの時間は学校に行く支度を済ませていなければならない。しかし射美にその記憶がない以上、弧域と姫乃は射美を送り出すことすらできないでいる。 (警察に行くのが正しいかどうか分かんないけど、どこかに相談しなくちゃ……身元が分かるまでここにいてもいい、って言えば、射美ちゃんも分かってくれる、よね) やむを得ないとはいえ、子供の大切な時間を自分の部屋に閉じ込めてしまうことに負い目を感じている姫乃は、風邪のせいで射美と始めた家族生活が早くもつまづいたことと相まって、かなり気を滅入らせてしまっていた。 カーテンの外は、昼も雲ひとつ無い青空を約束してくれそうな快晴。ボロアパート前の狭い道を、数分間隔で車が通っていく。そんな外の天気など知ったことではなく、静かに意識をまどろみの中に落としたい姫乃だったが、残念ながら、そうは問屋が卸さない。 何の前触れもなく、カラカラと窓が勝手に開いた。鍵は確かに閉まっていたはずだが、どうやって開錠されたのかは定かではない。カーテンが揺れて、眩しい光と新鮮かつ極寒の冷気が室内に容赦無く入り込む。 自分の空間から外部との繋がりを断ちたい時ほど、狙いすましたように宅配が届いたりセールスマンの襲撃にあいやすくなるものである。姫乃が体調を崩した原因のひとつである迷惑極まりない3匹の来訪はきっと、そういうことだった。 「おんやぁ? ホシはどうやらまだおネムのご様子。ここは一発、ワガハイの寝起きバズーカで目覚めさせてやるってのはどうにゃ」 寝起きバズーカやりたいんだったら静かに入ったらどうなのよ、と少々的外れなことを考える姫乃だった。 2日連続、しかも最悪のタイミングで無断侵入してきたキャッツアイの3匹、カグラ、ホムラ、アマティに対して、姫乃には怒る気力すら持てなかった。しかし、さすがに部屋の中で、小型とはいえ本気でバズーカなど構えられては無視するわけにもいかず、姫乃は渋々話しかけざるを得なかった。 「ゴホッ……お願い、今日はちょっと、静かにしてくれない、かな」 「なんにゃ、起きてたのにゃ。オマエが寝てる間に箪笥の中を物色するイベントとどっちをやろうか迷ったんにゃが、両方無駄になったにゃ。ヒロインを張るにゃら、朝はちょいエロイベントのひとつもこなしてほしいもんにゃ。ところで、そっちのロリはオマエの隠し子かにゃ?」 「そんなこと言ってる場合ですか。姫乃さん死ぬほど体調悪そうですよ」 アマティだけは姫乃の容態にいち早く気付き、気遣おうとする。できるならば部屋に侵入する前に気遣いをしてほしいと思う姫乃だった。 「あの、本当にごめんなさい。また出直します」 「今日の用事は隣室だろう、さっさと済ませて引き上げるぞ」 姫乃の懇願を聞いてか聞かずか、3人はあっさりと引き下がっていった。パタン、と窓が閉まり、部屋に再び平和が戻った。 ほんの短いやりとりではあったが、昨日のことを思えばあの3人が何をやらかしてくれるか分かったものではなく、姫乃の精神がさらにすり減ってしまった。 (あの3人もいなくなったし、弧域くんに……だめね。あの3人、弧域くんのエルを目覚めさせるんだっけ) 昨日、弧域は一度動く武装神姫――キャッツアイの3人を見ても信じようとせず、現実逃避してしまった。そのことを気にかけていた姫乃は、弧域に余計な心配をさせまいとして、今朝の弧域の看病を泣く泣く断ったのだ。弧域にしてみれば射美との顔合わせにより耐性がついていたのだが、事情を知らない弧域と朦朧とした姫乃には知る由もない。 「んん……なぁに? なにか言った?」 姫乃の隣で幸せそうに寝息を立てていた射美が目をこすり、開いた薄目が母親の顔を見つけた。 「あ、ごめん。起こしちゃった、かな」 「にはは。ママ、おはようのチュー」と姫乃のおでこに唇をつけた射美は「あっちぃ!」とすぐに離れた。 「ママ熱々! うわ、顔は真っ赤なのに唇は真っ青だよ!?」 「ごめんね、情けないママで、ケホッ、あんまり近づくと風邪うつっちゃ――」 「大丈夫!? どこも痛くない!? バイキンが悪いの? ママを体内からいじめるバイキンが悪いの? あたしが吸い取ってあげれば治る? じゃあもう一回チュー」 「んむっ!?」 姫乃に待てとすら言わせない電光石火の技だった。瞬きの間に合わされた唇、そこから全身でしがみつくように射美は手足を姫乃の体に回った。 誰もが羨む美少女、瓜二つの母娘がベッドの中でもつれ合う。乱れた髪が朱い頬を流れ、互いのすべてを奪い合うような口づけは、傍目に見れば燃え上がる恋人のそれに近い。 姫乃にとっては勿論、そこに情熱などあったものではない。 弧域にすらされたことがないほど強烈に吸い付かれ、バイキンどころか僅かに残っていた気力を奪い尽くされた姫乃は、もうされるがまま、時折ビクッと全身が硬直する以外は小指の一本すら動かせなかった。 「んむ……んふふ♪」 口づけ、いやもはや吸血に近いそれを続けていくほど、射美の表情は艶を増し、姫乃の表情からは生気が抜けていった。 (もう好きにして……あ、あれ? この感覚……) 無闇矢鱈な射美の愛情表現に快感すら見出し始めた時だった。薄れ行く意識の中で姫乃が覚えた感覚は、つい最近味わったものに似ていた。 ベッドのシーツが湖になったかのような、底へ底へと沈んでいく感覚。確かなものは射美と繋がる唇だけ。 いっそ心中とでも錯覚しようか、二人は暗い場所へと落ちていった。 「うっひゃあ、いきなり目の毒です! ――じゃなくて姫乃さん!? あなたは何が楽しくてまた自ら異空間に飛び込んできたんですか!」 「隣室だったからな。恐らく異空間の発生時、その神姫のマスターであるなしに関わらず、物理的に近い人間も巻き込まれるのだろう」 「ワガハイ、オマエのことを誤解してたにゃ。こんな時まで青少年育成条例に背を向けておんにゃの子に手を出すにゃんて……その意気やヨシ! オマエのただれた趣味はワガハイがメモリー(HDD)に永久保存してやるにゃ!」 パシャパシャと神姫サイズのカメラ(カグラが盗撮のために開発したもの)のシャッターが切られる音に気付いた射美は、あわてて姫乃を解放して立ち上がった。ブカブカの姫乃のパジャマの袖を振り回しての猛抗議である。 「ちょっとー! あたしとママのキスはあたしたちだけの宝物なんだからね! 勝手に撮っちゃダメ!」 「い、今ママって……姫乃さん、イチ神姫として勉強させてもらいました、ごちそうさまです」 「オイ、その姫乃が三途の川で溺死する寸前の顔をしているぞ。大丈夫か」 ホムラに言われ、アマティ、カグラ、それに射美は未だ倒れたままの姫乃の顔を覗き込み、息を呑んだ。 射美が着ているものとは色違いのパジャマのまま、姫乃はフローリングの床に倒れていた。 熱があるのだろう、顔が部分的に赤い。 しかし体力は底をついているのだろう、生気がない。 何か悲しいことがあったのだろう、目は充血して涙が漏れている。 寒いのだろう、鼻水が出放題である。 射美と愛を確かめ合いすぎたのだろう、口元がヨダレまみれである。 キスの最中で舌を噛まれたのだろう、だらしなく覗く舌に歯形がついている。 大学構内ですれ違えば誰もが振り向く、弧域一人のモノとしておくにはあまりに惜しい美貌。「にはは」と見せてくれる笑顔は太陽よりも眩しく光り輝く向日葵のよう。 大学1年の時、学園祭で開かれた美少女コンテストにわけもわからず出場させられ、観客の視線を独占してしまい、横に並んだ諸先輩方に睨まれたことがあった。 それほどである。それほどの面影は、もはやどこにもなかった。 「ママ、涙はいいけど、ハナミズとヨダレはヒロイン的にアウトだよ」 「そういう問題か?」 「しっかりしてください!どこか隅っこに運びましょう、ここは本当に危ないです!」 「せっかくにゃから、このベッドに寝かせたらどうにゃ。ちょっとデカいにゃが」 カグラ達はサッカーコートほどの広さの天井の下にいた。その天井こそベッドの裏面なのだが、たとえ姫乃の体調が良好であったとしても、それが弧域のベッドであると理解するには少し迷ったかもしれない。 ベッドを縦方向に二分して、片側は薄暗く、もう片側は明るい。 薄暗い方に見えるのは、姫乃の部屋にあるものと同じ机や本が散らかった本棚など、弧域の部屋そのものだった。 明るい方はといえば、まず床がフローリングではなく光を反射する色とりどりのタイル敷きだ。そして棚が整然と並んでおり、武装神姫の箱やパーツが陳列されている。姫乃達のいるベッドは、弧域の部屋と、どこかの神姫ショップ店内の中間にあった。 それだけでも異様といえる空間だが、さらにこの空間には特徴といえるモノに溢れている。 「やだ、なにこれ……全部お墓?」 「フン、言われてみれば墓にも見えるな。だがこれらはすべて剣だ」 硬いはずの床から本棚の本、ショップの商品にまで、ベッドの下以外の見える範囲すべてに、乱雑に大小形状様々の剣がびっしり突き立っている。その数は見える範囲だけでも千本を優に超えている。 剣の多くに鍔があり十字に見えるので、射美は西洋風の墓と勘違いしたのだ。あるいはここは、剣そのものの墓場なのかもしれない。 「ここがあの、エルさんの創る世界……なんだかエルさんの印象と違って、不気味ですね」 「にゃんてったってアルトレーネだからにゃ。性根が歪んでるのは想定の範囲内にゃ」 「殴りますよ」 「貴様ら、巫山戯るのはここでお終いだ」 身長以上に柄の長いハンマーを水平に構え、ホムラはフローリングとタイルの境目を跨ぐように立った。その境目の先、ベッドの天井から出たところにいつの間にか現れていたのは、金色の長髪、鉛色のロングコート、そして白く武骨な機械仕掛けの脚が特徴的な、戦乙女型アルトレーネ、エル。 俯いているため前髪が影になり、その表情をうかがい知ることはできない。 彼女も武装神姫ではあるが、ロングコートと脚の機械以外には何も持っていない。空いた両手が、側に突き刺さっている二本の剣を掴む。片方は装飾過多と見える大剣、もう片方は逆にシンプルなロングソード。その二本を構えるでもなく、これからジャグリングでも始めるかのように、真上より少し前方に放り投げた。そしてサッカーのボレーシュートよろしく、落下してきた剣を二本まとめて蹴り放った。 滅茶苦茶な軌道だが、その速さはライフル弾にも匹敵する。 「ぬっ!? うおおおおおおっ!」 飛ぶ剣にホムラはハンマーを合わせた。が、叩き落せたのはロングソードだけで、もう一本はホムラの背後へと飛んでいく。 「にゃほぁあ!? け、剣がいまワガハイの首元を通ったにゃ! 九匹に一鰹節にゃ!」 「まさか九死に一生って言いたかったんですか?」 「アマティの背面だ! 次が来るぞ!」 射美と姫乃を挟んでホムラの反対側にいるアマティは、ホムラの言うことを信じるどころか考えもしなかった。たった今、剣はアマティの正面から飛んできたばかりである。だからアマティは、ホムラが「俺の背面」と言い間違えたものとして、自らの剣を抜いて正面へ躍り出ようとした。 その瞬間、アマティの視界に火花が飛んだ。前のめりに体が倒れそうになり、床に手をついて姫乃を押し潰すことだけは回避できたものの、背中に走る激痛が堪えさせてはくれず、姫乃の隣に崩れ落ちた。 「きゃあっ!? だ、大丈夫……?」 慌てて近寄ろうとする射美を手で制したアマティは、未だ視界が安定しない中、背後を確認する。そこには【やはり、既に誰もいなかった】。 「わけわからんにゃ、アイツはアルトレーネじゃなかったのにゃ!? サイキッカー型が東京の立川以外の町にいるなんて聞いて無いにゃ!」 「アレはテレポートしているわけではない。一度見た神姫の技くらい覚えておけ、剣を周囲に叩きつけて得られる推進力を脚力に加える奴がいただろう」 解説しつつホムラは、再び別の方向から飛来した剣を弾いた。目の焦点を剣に合わせる間に、エルは姿を消してしまう。 「このベッドの上を移動しているのだろう。信じ難いスピードでな」 「アイツ一人に囲まれてるようなもんにゃ、ここにいたら格好の的じゃにゃいか! 早いとこベッドから出るにゃ!」 「だがな、このベッドの下だけ剣がない分、安全だぞ。奴が剣を使い捨てられるのは剣が突き立っている場所だけだからな。それに――」 側面から回転しながら飛んで来た二本の剣を、ホムラ、カグラがそれぞれ弾いた。ホムラは難なく防いだが、カグラは尻餅をついてしまう。 「奴は、この小娘二人を巻き込むことに対して、まったく躊躇を持ち合わせていないらしい」 言いつつホムラはチラリと射美と姫乃を伺った。 姫乃の状態は最悪だった。見て取れるほど体を震えさせ、縮こまってしまい移動どころか立ち上がることすら困難になっている。神姫云々よりも、一刻も早く適切な処置が必要だった。 「射美のパジャマも着てよママ……まだ寒い? ママ、ママ……うわああああああんママ死んじゃやだあああああ……」 上着はキャミソール一枚だけになり、泣きながら姫乃の体を懸命にこすってやっている射美も、動ける状態にはない。 「あ、今ネコ的な勘がビビビッときたにゃ。ほむほむ、ワガハイ達が置かれてる状況は【絶体絶命】じゃにゃいか」 「ホムラと呼べ。貴様はそのネコ的な勘とやらでようやく真っ当な状況判断ができるんだな。しかし今更愚痴も言ってられまい。アマティ、そろそろ起きろ」 「ランキングがなんぼのもんじゃーい!!」と叫びながら、うずくまっていたアマティが飛び上がった。 モード・オブ・アマテラスが発動し、スカート状のアーマーが左右に大きく展開された。先端の鋏のように開閉可能な部分は左右どちらもガッチリと、迫っていた剣を掴んでいる。 「ちょっと私より戦績がいいからってあの戦乙女、図に乗ってんじゃないわよ! つーかロングコートなんか着ちゃった戦乙女が世界のどこにいんのよ! ミ○キーもキングダムハーツでコート着てたって? 知らないわよクソがっ! アルトレーネは、こ、の、装備一式揃えてはじめて戦乙女だっつーの!」 「アマティ、児童ポルノが怯えてるにゃ」 「ああ? 何よ、児童ポルノって」 ほれ、とカグラに指差された射美は、あんまりなあだ名を付けられたことにも構わず、姫乃を覆い隠すように体を広げて抱きつき、まるでチェーンソーを持ったジェイソンに追い詰められたような目でアマティのことを見ている。 コホン、と咳をして気を落ち着けたアマティは、児童ポルノもとい射美に向かってとびっきりの笑顔を作った。 「にぱー☆」 「ひぃっ!?」 頭を抱えてうずくまってしまった射美と笑顔を引きつらせたアマティの間に、修復不能に近い溝ができてしまった。射美にとって長い人生(そんなものが射美にあったかどうかはともかく)の中でもっとも多感な時期である今、【突然豹変する金髪のお姉さん】というトラウマを植えつけたアマティの罪は重い。 「子供に嫌われるのって、結構ヘコむわね……」 「アマティはアマテラスを維持したまま姫乃と射美を守れ。アイツは俺とカグラで狩る」 「倒すならさっさと倒しちゃってよね。これ以上時間をかけて姫乃さんが危なくなったら、私はもっと射美ちゃんに嫌われそうだし」 「ほむほむと一緒にバトるのは久しぶりだにゃあ。二人でこの町のネコ大将を倒した時のことを思い出さにゃいか?」 「二人で? ……ああ、そういえば貴様が漫画を真似て作ったビッグプチマスィーンが自爆したせいで、その場にいた全員が死にかけたんだったな。思い出したら腹が立ってきたぞ、貴様後で――」 「な、なんのことかサッパリ分からないにゃあ。ワガハイとほむほむって実はまだ一緒にバトったことがないんじゃにゃいか、きっとそうにゃ! よーし今こそコンビネーションのお披露目の時にゃ! あのネコミミのないギュウドンを血祭りにあげてやるにゃー!」 カグラがホムラから逃げるように走りだしたことで、状況が動いた。これまでエルは大雑把にカグラ達の集団を狙って剣を蹴っていたが、今度はベッドの下から外に出ようとするカグラに的を絞った。 「誰もベッドの下から出さないつもりか? フン、確かにこちらに火器持ちはいないからな、一方的な今の状況を崩したくないのか」 ホムラの推理は実はまったく的を射ておらず、エルは単純に集団から外れて目についたものをターゲットとしただけだった。頻繁に位置を変えて遠くから剣を放つのも、エルが考えた戦術ではない。 剣を蹴り飛ばす技を持っていて、いくら使っても使い切れないほどの剣があり、ターゲットが一箇所に固まっていて狙いやすく、遠距離攻撃を想定した神姫の本能として頻繁に回避行動を取る。この4点だけがエルの行動基準になっていた。 アマティ達が最初に姫乃に説明した通り、心を持たないフィギュアの状態から目覚めて異空間に閉じこもる神姫は、それほどまでに正気を失っていた。 なぜ正気を失い、異空間を作り出し、誰彼構わず襲いかかるのかは分からない。しかし、不明確なことが多かろうが推理が外れようが、ホムラにとってそんなことは関係無かった。 「フィギュアになっていたせいか、丁度体がなまっていたところだ。リハビリがてら狩らせてもらうぞ、戦乙女」 カグラは毎度の如く囮の役目を十分に果たしている。ベッドから出ることも忘れ、連続して放たれる剣の弾丸からひたすら逃げ惑っている。 カグラを執拗に狙うあまり、エルはあまりに隙だらけだった。エルに向かって、ホムラは音を立てずに走り出した。 「誰がデコイをやるって言ったにゃ! ワガハイの強靭かつフカフカな肉球は刃物とは相性が悪ぃにゃほぁっ!? い、今モミアゲを持ってかれたにゃ! コレ死ヌマジ死ヌ助ケテほむほむぅ!」 「俺の名はホムラだと言ってるだろォ!」 助走をつけたハンマーのフルスイング、『グレーゾーンメガリス』がエルを真横から撃ち抜いた。 カグラしか見ていなかったエルは、まったく無防備にホムラが持つ最大威力の技を受けてしまった。鈍い打撃音と共に水平に吹っ飛び、床に突き立った剣を数本なぎ倒す。 『グレーゾーンメガリス』はあまりに大振りで隙だらけの技なので、普通のバトルで使用されることはほとんどない。ホムラが覚えている限り、公式ルールのバトルで使用したのは対戦相手が障害物に隠れて出てこなかった時に、その障害物ごと打ち砕いた一度きりだった。 稀に見るクリーンヒットの感触がホムラの両手に伝わる。ピッチャーが投げたストレートをフルスイングで返すような爽快感に、ホムラは顔に出すことなく酔い痴れた。 「ひぇ~ほむほむ超こえぇ~。今のはやりすぎにゃろ、正気に戻る前にジャンク屋行きになっちゃうにゃ。ほむほむは手加減ってものを知らにゃいのか」 「不要な心配だな」 ホムラは剣がなぎ倒されてできた道を走り出した。その先でエルは、カグラの予想に反して、剣を支えにして立ち上がった。 ハンマーが振り下ろされる瞬間、エルは髪を掠るギリギリのタイミングで床を転がることで逃れた。立て続けにホムラが踏みつけようとするのを再び転がって回避し、落ちていた剣を拾ってホムラから距離を取った。 剣を構えたエルは明らかに満身創痍だが、理性を失っているせいか、その戦意は衰えを見せない。 「神姫はあの程度で壊れるほどヤワじゃない。軽装の神姫とはいえ、一撃で沈めるのは不可能だな。しかし、コイツはあと弱パンチ一発といったところだが」 「パンチならワガハイの出番にゃ。見るにゃこの鍛え抜かれた肉球を。プニプニした感触から繰り出される百裂肉球はどんな神姫であろうと癒されるのにゃ」 「癒してどうする」 カグラがシャドーボクシングしながらエルの背後に回り、ホムラと挟み込んだ。 「行くにゃよネコ拳法――『にゃんぷしーろーる Ver.B!』」 「さっさと正気に戻れ――『パワフルメガマン!』」 ホムラは反対側から向かってくるカグラを巻き込むことにいささかの躊躇いもなかった。ウネウネとあまりにキモい動きで迫ってくるカグラが腹立たしかったのもあるが、カグラを気遣ったせいでエルまで仕留め損なっては挟み撃ちの意味が無い。 (神姫は頑丈だが……カグラなら少々壊れたくらいが丁度いいだろう) 柄を短く持つ手に力を込め、渾身の力で打ち出した。ハンマーの重量によりそれは破城槌となり、エルを目覚めさせる気付けの一撃となる。 「うおおおおおおおおおっ!」 「にゃにゃにゃにゃにゃっ!」 なる、はずだった。 「にゃぷぎゅっ!?」 カグラの豚を捻ったような声が聞こえるのと同時、ホムラの頬にプニッとした感触があった。カグラの肉球に殴られたのだ。 ハンマーを顔の中心にめり込ませているのは金髪の戦乙女ではなく、見慣れたケモテック製の猫だった。 エルは二人の間から姿を消していた。 「ワガハイ……こんな役ばっかり……にゃ(がくり)」 ホムラとカグラは長年一緒にいただけあって、息の合ったクロスカウンターは狂いなく互いに決まった。ホムラのハンマーはカグラを完璧に捉えて沈め、カグラの肉球はホムラを少しだけ癒したのだった。 ■キャラ紹介(8) コタマ 【ドールマスター爆誕】 「オイ、誰が3.5頭身の殺虫人形買って来いっつったよ」 十二体もの神姫を操るマシロを参考にして、コタマは自分では武装を身につけず、人形を操ることにしたのだ。 ただし、マシロのようにケンタウロスの胴体でデータ処理の容量を稼ぐことができないため、一度に操れる人形はコタマの両手でそれぞれ一体ずつが限度らしい。 その点については、「少数精鋭のほうがイイに決まってんだろ」とコタマに不満はないらしかった。 兄貴の武装神姫ストックに余りがなかっため、ベースとなる人形を近くのヨドマルカメラまで買いに走り、帰ってきたのがつい先程のこと。 ヨドマルに神姫を連れ込んではならないため、私が二体を適当に見繕ってきた。 でもコタマは私に感謝するどころか、箱に入ったホイホイさんを見るなり喧嘩腰で不満を垂れた。 「大学生にもなって読み書きもできねぇのか? どう見ても『武装神姫』じゃなくて『一撃殺虫!!ホイホイさん』って箱に書いてあるだろうが」 「だって、こっちのほうが可愛いやん」 「可愛いやん、じゃねぇよ! アタシの武装に可愛さとかいらねぇよ!」 「レラカムイからハーモニーグレイスに乗り換えて可愛げを無くしたんやから、せめて武器くらいは可愛くないといかんやろ」 「なんだその意味不明な理屈は! じゃあオマエはアレか、リクルートスーツがゴスロリドレスになっても文句言わねぇんだな?」 「やれやれ……コタマ、遊びとそうじゃないものの区別くらいつけんといかんよ」 「博多湾に沈めてやらぁ!!」 射場の順番待ちをしている間、コタマのことを背比に相談してみた。 背比は武装神姫を持っていないから、相談する相手を間違っているような気もするけど……相談ほど、話しかける口実に適したものはない。 背比は弓掛けをはめた手をニギニギしながら、たいして考えるでもなく答えた。 「そりゃあ、竹さんが悪い」 「なんでよ。だって武装神姫っていっても女の子なんよ。背比は知らんかもしらんけど、フリフリのドレスとか着た神姫もおるんやから。私のコタマだって傘姫が作った修道服着とるし。それやったら武器も可愛いほうがいいやん?」 「そうじゃないから、そのコタマと喧嘩したんだろ?」 そうだった。 またひとつ、背比に頭の悪いところを見せてしまった。 「ホイホイさん返品して、新しいの買い直したほうがいいんじゃないか? 竹さんだってその弓――」 背比が指さしたのは、私が高校の時から使っている『直心Ⅱ』だ。 手入れをあまりしなかったため、大きく歪んでしまっているが、今更ほかの弓を使う気にはなれない。 愛着以上に、この『直心Ⅱ』は弓の道を一緒に歩く相棒なのだ。 ……ああ、そういうことか。 「――を使うのを禁止されて、聞いたこともない弓を渡されたら、相手が範士の爺さんでもキレるだろ」 「うん、キレる。暴れる」 「俺だってキレる。武具ってのはそれくらい愛着がわきやすいものだぜ。だからさ、竹さんに考えがあったとしても、武装くらいはコタマの好きにさせてやろうぜ。ホイホイさん返品して、新しいの買ってやんなきゃな」 「あー……でも、買ってきたホイホイさん、もう兄貴が改造してしまったんよ。どうしよう、お金も無い」 「じゃあせめて、ホイホイさんの見た目とか性能くらいは好きにさせてやらないと」 背比からありがたく頂戴した提案は、今晩さっそく実行することにした。 クレイドルで不貞寝するシスターに、ホイホイさんの写真が載ったチラシとペンを渡した。 「んだよ、アタシは殺虫人形なんざ使わないからな」 「じゃあ、どうしたら使ってくれる?」 「ああ?」と私のことを睨みながらコタマは体を起こした。 その不満タラタラな顔にチラシとペンを突きつけた。 人形の買い直しがダメなら、せめてホイホイさんのデザインを、コタマの思い通りにさせる。 改造は兄貴にやってもらうとして、パーツが必要になれば、ホイホイさんを買ったお金の余りで補うし、それでもダメなら兄貴の持ってるパーツを貰うか、お父さんお母さんにお小遣いを前借りしてもらう。 この竹櫛鉄子、明日から日中の食事をチーズ蒸しパン一個で済ませる覚悟だ。 「いきなり素直になりやがったな。オイ、何を企んでやがる」 「なんも企んでないっての。ちょっと背比にアドバイス貰っただけ」 「またその背比かよ。オマエ、さっさと股開かねぇと他のアマに盗られるぜ」 「バカッ、そ、そんな下品なこと……でも、まだ傘姫とも付き合っとらんはずやし……もう少し仲良くなってからでも……」 葛藤する私を無視したコタマはチラシとペンを奪い取り、写真の中でポーズを取るホイホイさんにサラサラとペンを走らせ、デコレーションしていった。 「隆仁も言ってたけどよ、武装の有効距離を遠近どっちかに特化させちまったらつまんねぇだろ? バトルをジャンケンと勘違いしちゃいけねえ。遠くのカカシはブチ抜く、近くのネズミはブン殴る、ただそれだけだ。人間様と違ってアタシら神姫にはそれができる。唯一、人間様と同じデメリットの【身体は一人一つしかない】をアタシはクリアしちまったんだ。だったら話は簡単だぜ鉄子、コイツらの役割はもう決まったも同然だろ?」 好き勝手に書きすぎて、小学生の教科書の落書きのようになってしまったホイホイさんを、コタマはペンでコンコンと突いた。 一転して上機嫌になったコタマの笑みは、しばらく見ていないものだった。 「仮に名前でもつけとくか。近距離用の人形はファースト、遠距離用はセカンドな。ここからはオマエと隆仁の仕事だぜ。気合入れて、この設計図通りに仕上げてみせろよ」 次ページ『凶刃』 15cm程度の死闘トップへ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1034.html
剣の王妃、戦場を去れば神の姫君 アルマの戦績記録カードを受け取った後も、私・槇野晶は現実感が今一つ 乏しかった。いくら小さな島とは言え、天空に浮かぶ大陸ごと対戦相手を 斬り捨てて……否、消し飛ばしてしまったのである。そんな中で冷静さを 保てたのは、当事者の神姫二人……そしてクララのみである。ロッテも、 普段の彼女からすれば落ち着いていた方だ。神姫のみのシンパシー故か? 「しかしアルマや。あの巨大な爆炎……魔剣の能力、ではないな?」 「はい。電磁加熱機構をオーバードライブさせただけですよ、ただ」 「……エネルギーを無駄にせず、魔剣に蓄熱させて活用したんだよ」 「そうですの。わたしとアルマお姉ちゃんの剣は、頑丈ですから♪」 「あ、あたしの言葉~……とにかく、あれはマイスターの力ですっ」 確かに“ヨルムンガルド”と“マビノギオン・アサルト”の発生熱量を 全て一点に集約すれば、起爆は可能……だが、それだけでは自分の躯が ダメージを負ってしまう。恐らくは、刀身自体を耐熱装甲代わりにして 爆風を誘導したのだろうが……それを為しうるエルテリアの力。そして 複雑な挙動を容易に制御するアルマの潜在能力。恐ろしい娘だ、有無。 「にしてもだ。あれらを見て、驚くのが神姫より人間ばかりとはな」 「“肉の躯”だと、多分兵隊さん位しか想像できないと思いますの」 「ですね……あたし達は、戦う定めに身を置く“武装神姫”ですし」 「戦の中にあればこそ、敵の力を冷静に見極める能力を得る……か」 「と言っても全く驚かなかった娘は、流石に居なかったと思うもん」 “人間”として産まれ生きてきた私では、確かに現象を解析こそすれど あの“一撃”を感覚として“理解”する事は、さぞ骨が折れるだろう。 だが、それでも私はやらねばならん!“アルファル”を完成させる為、 この娘らの為に……同時に私の“追求したい”エゴの為でもあるがな? 「……よし、着いたぞ。今日の祝勝会はここでやる、いいな三人とも」 「お、お茶漬け屋“ばんじゃ~い”?……お茶漬け食べるんですの?」 「ここの鮭茶漬けが、旨いと聞いてな。アルマは塩味を好む質だろう」 「あっ……は、はいっ!でもいいんですか、あたしの好みなんかに?」 『なんかに』などと言うな……と指でアルマの口を塞ぎつつ、入店する。 秋葉原からほど近い場所だが、流石に神姫を連れた客は少々珍しい様だ。 襷を掛けた若い女性店員が、物珍しそうな目をしつつ案内をしてくれた。 ……何故かクララが、私の胸で落ち着かん。こっそり理由を聞いてみる。 「店員さんは、塾の……ほら、倭さんなんだよ。フィオラを欲しいって」 「なんと。狭い様で広いがやっぱり狭いな、東京は……うぅむ、意外だ」 この店員は、クララがHVIFの姿で“通っている”塾の友達らしい。 とは言え、彼女は“神姫のクララ”を見た事がない。私も初めて逢う。 不用意にクララの“声”を聞かれねば、悟られる心配は少ないだろう。 それに今日はアルマの祝勝会。倭とやらには、今日の所は黙っておく。 「はい。それじゃ、鮭茶漬け二の梅茶漬け二ですね……食べられる?」 「何も私一人で食べる訳ではない故な。気にせず持ってきてくれぬか」 「は、はぁ~……まさかその神姫達が食べるんじゃないです、よねぇ」 「ふふ、そのまさかだと言ったらどうする?さ、準備を頼むぞ店員よ」 自らも神姫を伴侶としている故に、私の言葉はより一層驚きの的らしい。 それでも、カリカリに灼け脂の弾ける鮭が出てくるのは間もなくだった、 仕事は手を抜かずきっちりこなす性格らしい。気に入ったぞ。身を解せば ジューシーな汁が湧き出す鮭。柔らかく見るだけで唾液を産む紀州の梅。 「蓮華も三つ、倭とやら気が利くな……さ、皆遠慮せずに食べるが良い」 「はいですの~♪マイスターとアルマお姉ちゃんは、鮭の方をどうぞっ」 「ボクとロッテお姉ちゃんは梅茶漬けだよ。ほら、アルマお姉ちゃんは」 「あ、覚えていてくれたんですね?……あたしが酸っぱいのダメだって」 そうなのだ……情けないが、私達四人は食べ物の好き嫌いを持っている。 中でも私とアルマに共通するのは“梅干しが食べられない”という事実。 私の梅干し嫌いは、碓氷灯にも共通した先祖由来の性質らしい。アルマは もっと大雑把に“酸っぱい物が嫌い”なのである。マリネも苦手らしい。 「じゃあ、私も戴くとしようか……まだ手伝いは不要か、三人とも?」 「はい。コレ位の“荷物運び”なら、お店でもやりますしね……っと」 「でも、鮭の方は少し大変そうかな?ボクらのは、これだけだもんね」 「なんだか、お昼にやっていた大豆運びのゲームを思い出しますの♪」 ここで“茶漬け”を選んだ己の不明を呪う。そう、ご飯に乗せる具材。 神姫の躯では、これらを解してお椀へと移す作業が非常に手間なのだ。 だが、普段“食事”を行っている彼女らには、それも苦ではない様だ。 「よし。では……戴きます。お前達も準備が終わったら、食べるといい」 「はい、無事完成ですの!じゃあ皆蓮華を持って、戴きますですの~♪」 「戴きますなんだよ……はむ、ん……あちち。でも酸味が美味しいかな」 「戴きますッ。はふはふ……あむ。ん……鮭が美味しいです、とっても」 「気に入ってくれたなら何よりだ。ん?アルマや、何をしている……?」 鮭茶漬けが入った蓮華を抱え上げて、アルマが隣のクララに突き出す。 それを美味しそうに、クララが食べる。そして、次はロッテに……!? ──そう!『あ~んしてください♪』というあのセリフと共に、だッ! 予期せぬシチュエーションを目前にして、思わず私も動揺してしまう。 「じゃあ次は……マイスターですっ。はい、あ~んしてくださいね♪」 「て、照れるじゃないかアルマや……あ、あ~ん……んむ、んむ……」 「如何ですか?って同じ鮭茶漬けだから、有り難み薄いでしょうけど」 「う゛、そんな事無い!そんな事は無いぞッ!!……だってな、その」 ──────大切な人にしてもらうと、美味しいからね。 次に進む/メインメニューへ戻る
https://w.atwiki.jp/mitlocke/pages/1037.html
ロンギヌスの槍 (新約聖書) 使用条件 神・神族以外のキャラクター 効果 [戦闘][格闘(武器):1] 他の格闘武器と同時に使用できない。 この能力カードを使用して格闘攻撃を行う時、 相手キャラクターが神または神族の場合、通常の損害判定は行わずに3:1の損害判定を行う。 この格闘攻撃に対して神または神族であるキャラクターは一切の行動を行うことができない。 相手キャラクターが神以外または神族以外の場合、通常の格闘と同じ扱いになる。 備考 この能力カードへの意見 同時期に存在した訳ではないが、アダム・アークライトの例の能力が使えなくなるのが非常に残念だと思う。 -- waka (2018-04-09 12 15 16) 神ばかり生きにくくなるし神専用の能力カードも作ろう(神属性のキャラがそもそも強いのばかりという説もある) -- ななふし (2018-04-11 12 34 13) 出典がエヴァンゲリオンじゃなくて新約聖書ってとこが草 -- stuffy (2018-04-11 21 31 26) 一応「神出鬼没」という能力カードがありますよ -- waka (2018-04-12 00 56 30) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1220.html
第一話「くまさん」 午後7時ごろ 「ただいま~」 「あ、おかえり。形人」 全身で器用にコントローラを操作し、エースコンバットゼロをプレイしていた鳥子がこちらを見る 「今回はおみやげ付きだぞ」 「お母さんに買ってもらったんでしょ?、サイフ置きっぱなしだもん」 「ぐ・・・。あのなヒカル、小遣いが安い一高校生の僕にどうしろと」 言っておくが、月の小遣いがたったの3000円だ。 「100円でしょそれ?ダイソーの袋だよ、それ」 以前買った食玩のF-14の尾翼を弄りながら鳥子―ヒカル―は言う よく見ているな、おい 「それよりも、ホレ」 そう言いながら袋の中身を差し出す それはクマのキーホルダーだった。 神姫と比べると人間換算で一メートルはある 「!? ・・・くまさん?」 可愛らしい反応するじゃないかヒカル。普段の戦闘機バカはどこにいった? 「貴方に言われたくありません!エリパチファン!」 「んー?いつぞや寝言で「神田さん好きです」って言ってた神田ラヴァーはどこのどいつかなぁ!?」 「!!?そ、そんなこと言ってたんですかっ!?」 あ~顔真っ赤にしてまぁ… 反則的に可愛いじゃないかコンチクショウ 「…あ、すまない…言い過ぎた」 「……」 黙っちゃった…どうしよう 「形人~!ご飯できたよ~」 あ、メシか、早くしないと怒られる… 「ヒカル、本当にすまない。明日はやて(マウンテンバイク)とばして着れそうな服買ってくるから…」 「……」 ヒカルは黙り込んだままだった 母がうるさいのでやむなく一階に下りていった ――三時間後 「あー・・・肉の後にスプラッタ描写のある映画を観るもんじゃないな・・・」 部屋に戻ると、ヒカルの寝息が聞こえてきた 「寝ちゃったのか・・」 すまないと思いつつ、机を見ると一枚のB5用紙が置いてあった 『くまさんのキーホルダー、ありがとう。あと服、楽しみにしてる』 描画用の2Bシャープペンで書かれた少し汚い文字 ふと見ると、ヒカルはクマのキーホルダーを抱いて眠っていた 起こさないようにクレイドルに運び、タオルをかけてやる 「おやすみ…ヒカル…」 エリア88第二話のセリフを流用しつつ、デスクトップの電源を点ける 夜は始まったばかりである。 おまけ 「何でタマネギばっかり?」 「タマネギは色々使えるだろ」 玉葱ばっかり野菜室に入ってるウチの冷蔵庫(実話) 次回予告 ヒカルが一日中寝ている間に、形人はダイソーまで行っていた。 そこで買ってきた物って、何? 次回「服」…ってまんまじゃん(N:形人) 武装神姫でいこう!?に戻る トップページ
https://w.atwiki.jp/battleconductor/pages/69.html
種類 一覧表 排出率 N R SR UR EXUR DN なんの略なのよ? EX++UR EXUREX++URカード EXURカード 一覧 イベント限定プロモーションカード 武装神姫1周年記念アーンヴァルMk.2&ストラーフMk.2 2022年謹賀新年ストラーフ DN レンタルN レンタルRレンタルに登場しない神姫 コメント メインであるゲーム内や公式サイトの表記を見るに公式の呼称は「レア度」。ただし公式操作説明書は「レアリティ」表記。 種類 N R SR UR の4種類がある。 亜種として EX++UR EXUR DN レンタルN レンタルR の5種類がある。 ※レンタルN レンタルR は便宜上の名前でありゲーム内でこう表記される訳ではない EX++URについて、++がEXやURの部分と同様に明らかに文字として縁取りされているため、そういう名前と判断してEX++URとEXURの2種類に分けています。 一覧表 レア度 神姫Cost 武装Cost 武装 親密度上限 ジェムロスト 個体値 Body 神姫 N ★ 70 or 80 変更可 Lv100 ◇ ◆ or ◆◆ or ◆◆◆◆◆ SS or S or M or L or LL カード神姫 R ★★ 130 or 140 変更可 Lv100 ◇◇ ◆ or ◆◆ or ◆◆◆◆◆ SS or S or M or L or LL カード神姫 SR ★★★ 320 or 330 変更可 Lv100 ◇◇◇ ◆ or ◆◆ or ◆◆◆◆◆ SS or S or M or L or LL カード神姫 UR ★★★★ 860 or 870 変更可 Lv100 ◇◇◇◇ ◆ or ◆◆ or ◆◆◆◆◆ SS or S or M or L or LL カード神姫 EX++UR ★★★★ 860 変更不可 Lv1 ◇◇◇◇ ? ? 限定プロモーションカード神姫 EXUR ★★★★ 860 変更不可 Lv1 ◇◇◇◇ ? ? 限定プロモーションカード神姫 DN ★ 70 変更可 Lv10 ◇ ? ? デジタル神姫 レンタルN ★ 70 変更可 親密度なし ◇ ? ? レンタル神姫 レンタルR ★★ 130 変更可 親密度なし ◇◇ ? ? レンタル神姫 より詳しい性能の差異・特徴はこちらへ 排出率 おおよそ N40% R40% SR15% UR5% N R SR UR EXUR DN なんの略なのよ? それぞれ何の略であるかは公式には明かされていないようだが、一般的な知見で推測すると以下の略なのではないかと思われる。 略称 正称 ヨミ N Normal ノーマル R Rare レア SR Super Rare スーパーレア UR Ultra Rare ウルトラレア EXUR Extra Ultra Rare エクストラウルトラレア DN Digital Normal デジタルノーマル 『「俺と神姫で戦うボタン」略して「AUTO」』とする運営なので、もっと奇天烈な正称である可能性は十分にある。 →2021/12/24の公式サイトリニューアルに際し、N~URまでのレアリティの正称がこの表と同じと明らかになった。 EX++UR EXUR 限定プロモーションカード神姫 = EX++UR or EXUR EX++URカード EXURカード 一覧 種類 神姫 配布 備考 EX++UR アーンヴァルMk.2 「JAEPO2020」バトコン試遊特典 3枚のランダムで1枚 ロケテストでのみ使用可能 EX++UR ストラーフMk.2 「JAEPO2020」バトコン試遊特典 3枚のランダムで1枚 ロケテストでのみ使用可能 EX++UR シュメッターリング 「JAEPO2020」バトコン試遊特典 3枚のランダムで1枚 ロケテストでのみ使用可能 シークレットだった EXUR ジルダリア 「事前登録キャンペーン」賞品 抽選20枚 キャンペーンサイトの画像ではEX++URだった EXUR ジュビジー 「事前登録キャンペーン」賞品 抽選20枚 キャンペーンサイトの画像ではEX++URだった EXUR シュメッターリング 「エアコミケ2」グッズセット限定特典 「コミックマーケット99」開催中止に伴う実施 EX++UR ツガル 「カードゲーマーvol.55」付録 EX++UR アーンヴァルMk.2 「カードゲーマーvol.56」付録 イベント限定プロモーションカード ロケテスト会場で発見されたノラ神姫のマーモット(?)AIは賢く、人懐っこく、甘えん坊な性格。家具を齧ったり、夜鳴きもしないが、高火力を好む物騒な一面もある。かわいがってあげてください。 2021/7/16~18のレイドボスバトルロケテスト時に配布されたムルメルティア(今後何らかのイベントが開催された際にも出現する可能性がある)。 通常のものとは表面イラスト及び裏面プロフィールが変わっているが、通常のRムルメルティアとしてゲーム中で使用できる。 親密度が上げられる他、個体値も個別に存在するが、重複して使用する事は出来ないとの事。 武装神姫1周年記念アーンヴァルMk.2&ストラーフMk.2 バトコン稼動1周年を記念して2021年12月24日10 00~2022年2月15日09 59の間、アーンヴァルMk.2またはストラーフMk.2のURカードを引き当てた時、特別なオリジナル装備姿となった両名がデザインされたものに変化する。 これは表面のみのデザイン変更で、性能・個体値などは通常の機体と同じ。ついでにイラストのオリジナル装備も一切出て来ない。 2022年謹賀新年ストラーフ 謹賀新年を記念して2022年1月1日12:00(公式Twitterにより開示された時間)~同12日9 59の間カードコネクトで印刷する事が出来る特別仕様のストラーフ。レアリティRの個体値2V(SPD・BST)成長タイプ晩成型でLサイズ、しかし6V同様コスト+10という変則的な性能。 通常のRストラーフとしてゲーム中で使用できる(装備はついてこない)。 【注意!】たとえ複数印刷しても全くの同一個体なので重複して使うという事は出来ない。 これは紐付け番号が完全に同一であるため。よって運用としては「イベント限定プロモーションカード」のRムルメルティアに準じるものと考えてよい。 ちなみにカードコネクトでは印刷時にフレームやエフェクトを使用できるのだが、しっかり武装神姫の枠(UR)もある。もちろん使っても実際のレア度には影響しない(ややこしい) どうせなら稼動1周年アーンヴァルMk.2&ストラーフMk.2も、こちらの売り方でよかったのではあるまいか? DN デジタル神姫 = DN デジタル神姫の保有上限数は30体です。カード化せずに上限に達すると、新たに購入できなくなるのでご注意ください。 保管期限180日という情報がヘイグに出ており、公式でもどこかで明記されていたような気がするのだが見当たらない。現在は保有期限は撤廃されているのか? レンタルN レンタルR レンタル神姫 = レンタルN or レンタルR レンタルに登場しない神姫 エーデルワイスおよび追加参戦した神姫はレンタルに登場しない。 コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/99.html
人物設定 金矢利道 SOS技術研究所に勤める研究員 二人の神姫をこよなく愛している マッドサイエンティスト気質で、バトルに参加したいとマリンが言ったとたん武装を即座に用意するなど、行動力溢れる人 ただし、基本的に意地のいい人ではない アニタ(ストラーフ型) 明るく活発。マスターにちょっとしたイタズラやわがままを言い、それを許してもらえるのがうれしくて仕方が無い子。 要求のレベルは非常に低く、確実に実現できるものをチョイスしている 自分のわがままや生意気さを自覚していて、それを許してもらうことに愛を感じている 裏闘技場での経験がトラウマになっており、最近夜中うなされている マリン(アーンヴァル型) 生真面目で大人しい。マリンのお姉さん的存在。口数が少なく、何を考えているか分かりづらいが、たいしたことは考えていない 自分の要求を口に出せないが、マスターがアニタにしてあげたことをすぐに自分にもしてくれることに幸福感を持っている その性格が災いして、利道にいじられている 武装設定 標準装備 タクティカル・エッジ 大型ナイフ 知り合いの研ぎ師に無理矢理作らせたもので、このサイズとしては異様な切れ味を持つ 2mm厚の装甲板を貫通可能 ターミネーター・マチェット 大型実体剣 小さいが、日本刀と同じ手法で作られており、すさまじい威力を持つ 直径5mmの鉄棒をたやすく両断する マリン専用バトルコスチューム 人工筋肉製の強化外骨格の上に、防弾防刃耐熱繊維で作られたメイド服を着込んだもの どちらの素材も、SOS技術研究所で開発された最新鋭の技術を持って作られている メイド服のスカートの中に多種多様な武器を隠しており、まさに「メイドさんのスカートのなかは宇宙と繋がってる」といった感じ ポケットと内部がつながっており、そこから武器を出す ちなみに、人工筋肉製外骨格の形状の都合上、通常の神姫より肉感的なスタイルとなっている 更なる秘密機能が隠されているとのうわさも… マリン専用武装(一部) リボルバー(S W M10型)×2 オートでなくリボルバーなのはただの趣味 クイック・ローダーではなく、手で装填する ちなみにこれとナイフだけはエプロンのポケットの中に納められている ショットガン(SPAS-12型)×2 これまた趣味で選んだショットガン メイド服とショットガンほど似合う組み合わせは無いとのことで、主力武器としている サブマシンガン(UZI9mmSMG型)×2 趣味で選んだサブマシンガン ちなみに、神姫用弾薬の規格は(基本的に)統一されているのでリボルバーと同じ弾が使える 無反動砲(パンツァーファウスト型)×4 スカートの中に納めるために、小型化されたパンツァーファウスト SOS技術研究所のオリジナル作品 小型化の影響で威力射程は劣化しているが、その分数を揃えることで対応している スカートの中から出てくる様はある種卑猥である 威力が劣化しているとはいえ、15mmの装甲を貫通する能力がある 射程も、基本的に近接戦闘になりやすい武装神姫の戦闘では問題にならなかった ちなみに、小型化によって軽量化された恩恵か、使い勝手は非常に良好で、後に少数生産であるが一般販売されている 用語 SOS技術研究所 元は人工筋肉関連の技術研究を行っていた研究所 現在は、神姫用人工筋肉のライセンスなどでウハウハ 金があるので、大分趣味に偏った研究に走っている それでも十分な成果を上げている ちなみに、SOSとは研究所を立ち上げたメンバー 所長の相馬、主席研究員の尾田、出資者の柴崎 それぞれの頭文字を取ったものである
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/186.html
そのろく「類は共を呼び友になるのか?」 きりきりきりきり ひゅっ ずとん 「的中」 現在部活動の真っ最中。 人間何事も平常心が大切だよね、って取って付けた事を言うつもりも無いけど、雑念邪念を振り払いたい僕にとって、この部活を選んで良かったと言わざるを得ない。 昨晩のアレは、なんて言うかダメすぎる。 おかげで今朝は、なんとなくティキを正視出来なかった。 そういう意味でも弓道っていいよね。精神修行だし、集中しないと動作に現れる。 つまりへまをやらかしたくなければ余計な事は考えないようにしないといけない。 ひとしきり矢を番えた僕は、更に精神を落ち着かせる為道場の隅で正座し、反目閉じる。 ウチの学校の弓道部は大会等で好成績を残す事を目的としていない。なら何が目的なのかと言えば、「修練」なのだそうだ。 だから勝つ為の技法より、心構えや求道性を求められる。そんな指導で強い選手など早々育ちはしない。 つまり、そんな空気感のある部活と言う事。 だから僕が隅で心を落ち着かせる為に正座をしようが、誰にもとがめられる事は無い。 顧問に言わせればむしろ奨励。 実際にどんな邪念妄想を打ち消そうとしているかなんて、誰にもわかるはず無いのだから、僕はこの時間を有効活用し、必死に平常心を取り戻そうとしていた。 すうっ、と僕の隣に誰かが座る気配を感じる。 一人が座して、他の部員がそれに倣う事も多々あることなので、僕は気にしないで雑念と闘っていた。 の だ が、 「武装神姫」 耳元ではっきりとそう聞こえた。 雑念を読み取られるわけ無いんだけど、僕はそれでもギョッとして今となりに座した人を確認する。 同じ一年の式部敦詞(しきぶ・あつし)がそこにいた。 式部は目を閉じたまま、小声で続けた。 「明日の放課後、神姫を連れて三丁目の公園に来い」 「……わかった」 僕は、やはり小声で答えるしかない。僕は学校ではそういう興味がまったく無い人間として過ごしているので、事を大きく出来ない。たとえそれが脅迫だとしても、だ。 結局僕は、新たな雑念を抱えて家路に就くことになった。 次の日 部活が無い日をわざわざ選ぶのは、やはり同じ部に所属するからで、部活がある日だと時間的に都合が悪い。そういう意味じゃ常識的な相手。 つまり、あまりにも非常識な要求はしてこないだろう、と僕は予測する。 正確に時間を決めていたわけじゃないので特に急ぐ事も無く、僕は公園に到着した。 「遅い!」 来るなりヤツはそう言う。 「別に時間決めてたワケじゃないだろう?」 僕は答える。チョット言葉が強張るのは緊張してるから。 「それがお前の神姫か?」 「そ……そうだ」 式部は僕の頭の上にいるティキを見る。今日のティキは母さんが作った服を着ていた。 そんなティキを確認し、式部はチョットだけ目付きをきつくした。 頭の上でティキがビクッと震えるのを感じる。 「なんで武装して無いんだよ」 「……はぁ?」 「それじゃあバトル出来ねーじゃんかー!」 式部はそう言うと、大げさに天を仰ぐ。 「……話が読めないんだけど?」 そう言った後で、僕は式部のすぐ近くで宙に浮いている、小さな人影を確認した。 白い素体に真っ赤なアーマー。 「おい、それって……」 僕は思わず指差す。 果たしてそこにいたのはMMS TYPE SANTA CLAUS ツガル。 その姿に頭上のティキも気付いたんだろう。僕の頭の上でジタバタと暴れだす。 「マスタ! マスタ! 見た事無い娘がいるですよぉ☆ すごいですよぉ♪」 「まだ発売して無いウエポンセットの!!」 「はい。はじめまして。きらりです。よろしくお願いします」 未だ天を仰いで悶絶している自らのオーナーを尻目に、きらりと名乗った神姫が丁寧にお辞儀した。 公園にいたままじゃ埒が明かないという結論に至って、僕らは連れ立って近所のアミューズメント・センターに場所を移した。 ここは所謂昔で言うところのゲーセン。それにファーストフード店とそして武装神姫のアクセスセンターとを兼ね備えている施設だ。 「つまりBAのコニ○・パレスみたいなところなのですよぉ♪」 「……誰に対して言ってるかわからない上に、僕には言ってる意味もわからん」 遠慮がちにティキにつっこむ。 場所柄だろうか、周りには神姫を連れた人たちで賑わっている。ここではセカンドリーグまで扱っているらしいので、そういう意味じゃリーグ参加者が多いのも当然か。 僕らの様な地方(と言っても首都圏)に住んでいる人間にとって、こういう施設は需要が高い。 僕らは適当に空いている席を陣取ると、軽食を取りながら改めて話を始めた。 あー……でも、たいした話でも無いので内容だけ。 要するに、式部は僕とティキが初めてバトルしたあの試合を偶然にも目撃していたらしい。それでオーナーの顔を覗いて見たら、何と見知った顔じゃないか。神姫ユーザーである事を(僕とほぼ同じ理由で)隠していた式部は、何としても発見した同士を逃がすわけには行かない。 「と思って、つい声をかけちまったんだよ」 式部はそう言ってジュースのストローに口をつける。 「それにしたって、もっとやり方ってあるだろう? っと、ティキ、ウロチョロしない」 答えながらもティキをあやす。ティキとしては珍しいんだろうな。もっと色々と外に連れ出さないと。反省。 そういう意味じゃ、きらりは落ち着いたもので、大人しく座って式部と一緒にポテトをかじっている。 「あんな言い方じゃ、どう好意的にとっても友好的には受け取れないよ」 僕は大好きなマウ○テン・デューに手をつける。 「あー…… それについては反省してる。よっぽど切羽詰ってたんだな、俺」 「一人で納得するなよ」 「ははは。まぁ良いだろ? で、それじゃ、改めて。今度部活が無い日に、俺のきらりとお前のティキでバトルしようぜ」 そう言って右手を僕に差し出す。これは握手しようってことかな? 「わかった。明々後日だね。……最初からそう言ってくれれば良かったんだよ」 僕は式部と握手を交わす。こういうのって慣れて無いからチョット照れる。 「へへへ、こういうの、チョット照れるな」 まるで僕の心の中に浮かんだ言葉をそのまま言った様な、そんな事を口にした式部に驚く。 だけど、僕が驚いた事には気付かなかった様で、式部はごく普通に話を続けた。 その後、僕と式部は今まで誰にも言えなかった神姫の話を十分に語り合い、ティキときらりはお互い知らない事を情報交換し、親睦を深めていった。 「それじゃぁ、またな」 「うん、また明日」 「今度はバトルフィールドで会おうね」 「ハイですぅ♪ 楽しみなのですよぉ♪」 僕らが別れの挨拶を交わす頃にはもう時間は十分に遅くなっていて、とても高校生が遊んでいる時間とは言えない。 空には満天の星が輝いていた。 「明日も晴れそうだね」 「ハイですぅ♪」 足取りも軽く、僕は家路についた。 ……母さんに怒られる事は必至なんだけど、ね。 終える / もどる / つづく!
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2602.html
第3部 「竜の嘶き」 「ドラゴン-5」 2041年10月31日 9:30 天王寺公園神姫センター 第3フィールド森林ステージ ドドッム!!ズズズウウン!! 林のスキマから青チームの丑型がカノン砲でA飛行場に向けて散発的に砲撃してくる。 シャル「今だ!行くぞ!!」 だっとシャルたちがA飛行場の片隅に置いてある自分の武装に駆け寄る。武装は昨夜の戦艦型の砲撃によって土砂が被り半分埋まっていた。 建機型が数台、アームで必死に弾薬や武装を掘り起こすのを手伝う。 シャル「早く武装を掘り起こせ!!迎撃できないぞ!!」 リインがシャルに駆け寄る。 リイン「戦乙女型の連中が出ますよ!」 シャル「ふん、対岸の青チームの爆撃隊を仕留めるつもりだな」 ライラ「俺たちも出撃しよう!」 ライラが滑走路に走るが、滑走路は戦艦型の艦砲射撃で穴だらけ、あちこちに砲撃を喰らって炎上している神姫の残骸がごろごろ転がっていた。 シャルがライラの肩を引っ掴む。 シャル「主滑走路はダメだ!!予備を使うぞ!みんなついて来い!」 砂を取っ払ってエンジンをスタートさせるシャル。 キュキュキュ・・・ なかなか動かないエンジンにシャルが苛立つ。 シャル「さっさと動けェ!!動けってんだよォ!!このポンコツが!!」 シャルがガンと足で武装パーツを蹴り上げる。 ガキン!!ドルンドルウウングオオオオオオオオオン!! ガタガタと低い重低音を鳴らしながらエンジンが唸る。 セシル「ヨーシ、かかった!!いい娘だぜ!」 リイン「こっちも行けます!」 ライラ「いつでもOKだぜ!」 シャル「マスター!!出撃許可を!」 マスターの伊藤がすばやく指示を出す。 伊藤「申告はいい!!出撃しろ!」 グオオオオオオオオオオオオン!!! 唸り声を上げながら出撃するドラッケンたち。 チーム名「ドラケン戦闘爆撃隊」 □戦闘爆撃機型MMS「シャル」 Sクラス □戦闘爆撃機型MMS「ライラ」 Aクラス □戦闘爆撃機型MMS「セシル」 Aクラス オーナー名「伊藤 和正」♂ 27歳 職業 工場設備関係メーカー営業員 □戦闘爆撃機型MMS「リイン」 Aクラス オーナー名「伊上 直人」♂ 26歳 職業 総合卸商社営業員 滑走路にいる味方の神姫たちがバイザーや帽子、兜を振りながら歓声を上げる。 「HERE WE GO!!」 ズズウン・・・ドドン・・・ダッダダッダダダッダン!! A飛行場からすぐ近くのフィールドでは、敵味方入り乱れての激しい戦闘が行なわれていた。 騎士型「突撃ィー全神姫神姫突撃だー!!」 騎士型が剣を振り回し突撃の号令をかける。 ウオオオオオオオオオオオオオオオ!! 唸り声を上げて、突撃する青チームの武装神姫の集団。 剣や槍を構えた神姫が大地を蹴って敵味方の屍を踏み越え突撃してくる。 赤チームの陣地は、必死にライフルや機関銃で応戦する。 火器型「ち、畜生!く、くるなァくるなァ!!」 砲台型のカノン砲を喰らって上半身が吹き飛ぶ箸型、火器型の機関砲弾を浴び、穴だらけになる侍型・・・それでも青チームの突撃は止まらない。 ヤマネコ型「こいつら死ぬのが怖くないのか!?」 虎型「ひ、ひいいい!!」 騎士型「抜刀ッーーーーーーーーー!!!」 シャリンシャッリイイン!!シャリィーーーン 騎士型の号令で一斉に抜刀し、猛然と赤チームの陣地に襲いかかる数十体の青チーム突撃部隊。 騎士型「歓呼3声――――――――ウラッーーーーーーーー!!」 ウラッーーーーーーーウラァーーーーーーーーウッラァーーーーーーーーーー 砲台型「う、うわあああああ!!」 ばっと宙に飛び散るオイル、そして土煙。 あっという間に乱戦状態になり、赤チームの陣地はめちゃくちゃに蹂躙される。剣士型が火器型神姫の首を跳ね飛ばし、逃げ惑う虎型神姫のしっぽをつかみ槍を突き立てる侍型、戦車型の頭を勝ち割る紅の武装に身を包んだ戦乙女型、何度も何度も銃剣で息絶えた花型に突き立てるコマンド型・・・叫び声と金属の擦れ合う音、怒声、銃声が入り混じる。 それは何度も続く戦場の音であった。 ワアアアアアアアアアアアアアアアアアア・・・・ 伊藤「・・・全機、爆弾を投下しろ」 伊藤は冷たい眼で筐体に移る戦場を一瞥するとシャルたちに指示を下す。 シャル「了解、全機につぐ!!急降下爆撃で爆撃しろ!!目標は67番丘!!」 キラッ・・・ 騎士型「!?」 騎士型が太陽の中を見つめる。 グオオオオオオオオオオオオオオオオン!!! エンジンを唸らせながら重武装のドラッケンが4機、逆落としのように急降下し突っ込んでくるのが騎士型の翡翠のような目に映る。 騎士型「ド、ドラッケン戦闘爆撃機!?」 ヤマネコ型「撃て撃ちまくれェ!!近寄らせるなァ!!」 ズンズズズン!!ドドドン!! 十字架型のキャノン砲を構えたシスター型やレールキャノンを構えたヤマネコ型が激しい対空砲火をシャルたちに浴びせる。 バキン!!カキンバンバッバン!!コーーーン! ビシバシと装甲板が吹き飛ぶが、重装甲のドラッケンの急降下爆撃を止めるには少々火力不足だった。 シャル「Drop bombs on an enemy position!!」 キュウウウウウウウウウウウウン・・・ シャルたちは一斉に爆弾を侵攻してきた青チームの神姫たちの集団のど真ん中に投下する。 ズドッドオオオオオオン!!バゴオオオオオオオオォーーーーーーン!! すさまじい爆煙と真っ赤な炎が舞い上がり、一気に数十体の武装神姫が木っ端微塵になって吹き飛ぶ。 ライラ「イッヤッハー!!」 リイン「命中!命中!!」 セシル「伊達に俺たちゃ、『竜』の名前はついてねーんだぜェ!!!!」 シャル「67番丘の爆撃完了!!これより帰還する!」 伊藤「A飛行場は今、テンペスタの機銃掃射を受けている!!気をつけろ!!」 伊藤は筐体の画面を操作して現在の戦況をシャルたちに伝える。 戦況はあまり思わしくないようだ。 必死で赤チームは青チームの猛攻撃を凌いでいるが、昨夜の戦艦型神姫艦隊の艦砲射撃の影響で赤チームの稼動率は下がっていた。 シャル「ここが一番の勝負所だ!!今頃、飛行場の上空ではこの間のテンペスタの連中が俺たちが帰ってくるのをてぐすね引いて待ち構えているだろう」 ライラ「友軍の戦乙女の連中は、昨夜の戦艦型神姫の艦砲射撃で陣地ごと吹き飛んじまったしな・・・」 セシル「残った連中でも、テンペスタの相手は厳しいだろう」 リイン「シャル、いい考えがある」 シャル「!?」 リインがシャルのそばに寄る。 リイン「いつかの戦乙女の手を使いましょう!『囮』を出すんです」 シャル「囮だと?」 リイン「ロッテ戦術です」 ロッテ戦術(ロッテせんじゅつ) ロッテは、航空戦における戦闘機の基本的な戦術・編隊構成で、2機で一つの編隊を組む手法。 ロッテはもともと旧ドイツ空軍が確立させた航空戦術であり、その後各国の軍隊でも採用されている。 戦闘機2機が相互に補い合い、ハンデとなる単機戦闘を避け、相互支援することによって敵機を撃墜・撃破することを目的とし、元は格闘戦において優位に立つために編み出された戦術である。 2機1組で分隊を組み、長機(リーダー)が攻撃・追撃を行っている間、もう1機の僚機(ウィングマン)が上空ないし長機の後方に食らい付き援護・哨戒を行う。この際、攻撃を行う長機のパイロットは後方に留意する必要がないため、攻撃に集中する事ができる。 なお戦法は現在においても尚、効率の良い戦術・隊形とされ、今日では世界中の空軍が採用している。 だが、この戦法は高いチームワークが必要となり、囮となる方が高い技量を有し危険度が増す。 シャル「だが、それでは囮となる・・・オマエが・・・」 リイン「シャル!!俺を信じてくれ!!!やれる!このチームなら!!やるなら今だ」 ライラもセシルもじっとシャルの目を見てうなずく。 シャル「よおし・・・リイン、その手を使おう!!ただし、俺も囮になる」 シャルたちは巡航モードに可変しスピードを上げてA飛行場にまっすぐ飛ぶ。 シャル「ライラ、セシルはリインと俺を追うテンペスタを狙って撃て!!」 ライラ「任せてください!!」 セシル「やってやる!!」 A飛行場に近づくと、数十機のテンペスタが飛行場に機銃掃射を仕掛け、戦乙女型のアイネスの小隊と空戦を行なっている。 シャル「行くぞ!!ヤロウ共っ!!!ついて来い!!派手におっぱじめるぞ!!!!!」 グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!! エンジンをフルスロットルで振り絞り、高高度から一気にダイブしてテンペスタに襲いかかるシャルたち。 その姿はまさしく、獰猛な竜そのものだった。 To be continued・・・・・・・・ 次に進む>「ドラゴン-6」 前に戻る>「ドラゴン-4」 トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1798.html
うかつだった。 そんなことをぼんやりと考える。 「どうしたのマスター?」 耳元でわめいているちび人形を無視して、もう一度思う。 うかつだった。 「どうしてマスターはボクのことを無視したがるのかなあ?」 「……うるさい、気分が悪いんだよ」 脂汗のにじむ額をぬぐって、肩にのったちび人形に毒づく。 「ひどい汗だね」 「……こんなに人がいるところにきたのは久しぶりだから、気持ちが悪くなったんだよ」 人いきれに酔った僕は壁にもたれかかりながら荒い息を吐く。 「そっか、マスターって引きこもりだもんね」 「……………」 言い返す気力も出ないまま、大勢の人間が出入りするそのビルを見上げる。 でかでかと掲げられたポスターには白いアーマーを着込んで、ジェット戦闘機のウイングのような羽を背負った少女と、つい先日、僕が部屋でいじっていたアシストアームを背負った、僕の肩に乗ったちび人形そっくりの少女が戦っているところが描かれている。 そしてそのすぐ下には看板をかねたアルファベットが立体的に浮き上がっている。 SHINKI CENTER それがこのビルの看板だった。 「あの……神姫バトルがしたいんですけど……」 受付カウンターで恐る恐る声をかけると 「はいはい、初めてですか?」 「あ、はい……」 カウンター越しに受付の女の人が愛想笑いを浮かべて言う。 「BMAだったらそのまま参加手続きができるんだけど、VBLに新しく登録する?」 「VBL……?」 BMA……武装神姫バトル管理協会については、神姫のことを調べている時に知識を得ていたけれど、VBLという言葉については聴いて記憶がなかった。 「最近できたリーグでね、バーチャルバトル専用のリーグなの」 「バーチャル……?」 「ええ、神姫バトルがいくら安全って言っても絶対ってことはないし もしかしたら神姫が壊れちゃうかもしれない。それでなくても試合の度の消耗品だって少なくないでしょ? そこで新しくできたリーグね」 僕が子供だからか、少しだけ営業スマイルを引っ込めてその人が説明する。 「……BMAのままでいいです」 少しだけ考えて、そう答えていた。 「いいの? 修理とか大変だし、まず大丈夫だとは思うけど、神姫ロストの可能性も……」 「壊しあいでしょ、神姫バトルなんて。それにバーチャルデータなんて自分の部屋でも出来ることをするために、わざわざここまで来ても仕方ないですし」 馴れ馴れしい口調に少し苛ついて、はき捨てるように言ってしまった。 「でも……」 なおも、聞き分けのない幼児を教え諭そうとする保母さんみたいな言葉がつむがれる。 「……っ!」 それにますます自分の神経がささくれ立って行くの自覚していたところで…… 「そうだね」 耳元で聞きなれた声が響く。 「ボクはここにホントの戦いをしにきたんだから、バーチャルバトルなんて、興味ないよ」 ニヤリ、と不敵な笑みを浮かべてチビ人形……ジェヴァーナが言う。 「いいの?」 心配そうな視線が僕からジェヴァーナに移動する。 「もちろん。ね? マスター」 「あ、ああ……」 「ちなみにマスターも初心者だから、Cランクでヒマの人ね。そんなに戦闘経験がない人の方がいいけど、ランクさえあえばあとはいいから。ステージはできればシティで」 毒気を抜かれてうなずく僕の代わりに、ジェヴァーナが矢継ぎ早に受付の人に言いつける。 「うーん……はい、わかりました。それじゃ手続きしておきますから、ティールームでお待ちください」 「よろしくね、お姉ちゃん♪」 僕のことは置いてけぼりな感じで、ジェヴァーナがフォローするみたいに笑顔を向ける。 「……どうも」 なんとかそれだけ答えて、申請のためにオーナーカードをチェックしてもらい、僕たちはカウンターを後にした。 ……なんだか、無駄に疲れ続けてる気がするな…… やっぱり外出なんて、するもんじゃない。 このちび人形にそそのかされて、実際のバトルでデータを取ろうなんて考えたのが、すべての間違いだ。 ……それにしてもなに考えてんだ、こいつ。 ジェヴァーナが壊れても別にかまわない。 そんな意味に取られて当然の発言に、こいつは追従した 所詮、神姫はオーナーに絶対服従するように作られているだけと言えば、そうなんだろうけど…… それでも、少しだけほっとしてしまった気がする。 なにに? ジェヴァーナが……僕を信じてくれたことに? ……ばかばかしい。 そんなこと、こいつが考えているわけないし、そもそもそう見えるようにプログラムされている神姫がオーナーに不利なことを言うはずがない。 ただそれだけの…… 「マスター、またなんかひねくれたこと考えてる?」 「……なんだよ。それ」 「だって、こーんな目してるんだもん」 ジェヴァーナのやつが、イヤミな笑みを浮かべながら、目の横に指をやって、横にひっぱる。 「そんな顔してないだろ!」 「自分の顔は自分では見れないもんね」 「見なくたってわかるさ」 「見ないとわからないから、リアルバトルをしたいんじゃないの?」 「ホントに口が減らないな、お前……」 ……だけど、こんな会話が以前ほどうっとうしくなくなっているのを感じる。 慣れって怖いな。 「まーたなんか、ひねくれたこと考えてる」 「いい加減にしてくれ……」 ほとほとあきれてそういったところで…… 「あ、マスター、あれ!」 「……?」 ジェヴァーナがティールームに設置されたディスプレイを指差していた。 そこには、僕とジェヴァーナの名前が表示されていた。 それがゆっくりとスクロールしていく。 「決まったな。お前のデビュー戦」 「違うよマスター」 横目で僕を見ながら、ジェヴァーナが否定する。 「……ジェヴァーナの」 バトル前に余計な口論をするのも面倒だったので、素直に訂正しておく。 だけど…… 「それも違う」 「……?」 再びジェヴァーナの否定が返ってきた。 「ボクのデビュー戦じゃない。ボクたちのデビュー戦なんだよ」 「……戦うのはお前だろ」 「それでも、だよ。ボクとマスターが戦うんだ。このバトル……ううん、すべての神姫バトルは神姫とそのオーナーが戦うんだよ」 「BMAかなにかの受け売りか? それともそう言えって出荷段階でプログラムされてるのか?」 「プログラムなんかじゃないってば。武装神姫だったらみんな最初から知ってる心に刻まれてることだよ」 「……それが焼きこみプログラムとどう違うんだよ」 「わからないかな。とっても簡単な事なのに」 くすり、となぜだか少し大人びて見える笑みを浮かべる。 「どういう……」 「変な名前」 聞き返そうとしたところで、とたんにその表情は消えて、いつもの少しからかうような、小生意気なだけの表情が取って代わる。 「……?」 ジェヴァーナの視線を追うとそこには僕たちの名前がスクロールアウトし終わって、その対戦者……つまり、ジェヴァーナの相手の名前が表示されていた。 「えいせん?」 「ドイツ語だろ。鉄……っていうか、クロガネってニュアンスの意味だったはずだ発音は確か……」 小説かなにかで見覚えのあるそのアルファベットの並びの発音を口にする。 「アイゼン」 視線の先、ディスプレイの対戦表には、 『U1 & Eisen』 と表示されていた。 「トップへ」/「戻る」/「次へ」